買ってからずっと死蔵していたクサカベアキーラで、写実風人物画を描いてみました。
クサカベアキーラについて
クサカベから発売されているアキーラは、アルキド樹脂というものでできている絵の具です。
アクリル絵具がすぐに乾くことにビビっている私は、アキーラが「ゆっくり固まる、翌日でも筆が洗える」ということを聞いて(読んで)すぐに買いました。
使い方もよくわからなかったので放置していたのですが、最近アクリル絵具を少し使い慣れてきたのでそろそろ使ってみようかと言うことになりました。
写実人物画に挑戦
先日、アクリル絵具で写実人物画を描いてみたので、その手を忘れないうちに同じような描き方で人物画を描いてみることに。
A5サイズのラワンベニヤパネルに、ホームセンターで売っている画用紙を水張りしました。
下絵(トレス)
シナベニヤでなくてラワンにしたのは、たまたまA5がそれしか売ってなかったからですが、直接描くわけではなく紙を水張りするだけなので、ラワンでも問題ないと思ったのもあります。
(売り物にする場合は経年でヤニが出る恐れがあるので、シナベニヤにしたほうがいいかも?)
画用紙については、安い画用紙でしっかりした絵が描けるなら、紙代が安くついて幸せになれると思ったからです。なんでもモノは試し!
下絵は恐縮ながらカーボン紙で転写させていただきました。
モデルは、Jparkです。韓国ヒップホップ界のトップスターで私は社長と呼んでいます。
下塗り
そして線画の上に薄い絵の具でインプリミトゥーラ(下塗り)。
しつつグリザイユ法っぽく、明暗もつけていきます。
トラブル発生!紙がぼろぼろ
おーっとここですでに問題発生。
画用紙の表面が溶けてざりざりになってしまっています。
あー、やっぱ表面が弱い紙だとだめかー、、、
でももしかしたらアクリル絵具だったら、最初の膜で保護されるから大丈夫かも?
アキーラは乾きが遅いので、塗り重ねると下が溶け出してくるんですよね。
まあ、表面がざりざりになったのも味かな?どうせ塗りつぶすしいっか~、と作業を進めます。
不透明レイヤー
上に濃い、というか厚い、不透明な色を載せていきます。
このあたりが今の自分にとって一番難しい段階です。絵が台無しになる。。
絵を壊さないで進めていくコツとしては
- 3色程度の絵の具だけで混色して色を作り塗っていく
- 明るいところ・中間・暗いところの三段階をまず塗りわける
- 輪郭線を極細筆かペンでもいいので消す前に引き直す
というところでしょうか
ちゃんと絵の具で色デッサンできる人は、こんなことしないで目で見て筆で絵具を置いて再現できるのでしょうが、無理な自分は常に常に輪郭線を壊さないように、必要なら訂正しつつ進行していきます。
明暗段階
ざっくりと明暗がついたところ。
細部着彩
さらに細かく描いていきます。
顔さえなんとか整っていれば、それ以外は結構いい加減に描いても割とサマになるものです。
全部きっちり描かないほうが写真じゃなく『アナログ絵』という感じがしていいのかも?
トラブル発生!剥がれた~
そしておーっと、またまた問題発生!
ちょっとピンボケしてみずらいかもしれないですが、頬骨のあたりをご覧ください。
絵の具が削れています><!
これはアキーラが乾燥が遅いから発生した現象だと思います。
この技法の場合、絵具をグラデーションさせるために筆でサラサラサラサラと何度もなぞるのですが、そのせいでゴボっと絵の具の層が取れてしまったんです。
私の筆に水が多すぎたのか、、画用紙が弱いからか、そういった複合的な原因があるのでしょうが、なにしろ困る現象です。
アクリル絵具ではそんなことないはず、、と一瞬思ったのですが、以前Sueddu先生の授業を受けていた時もはがれたことがありました。
でもあの時もアクリル絵の具が生乾きだったからなので、完全に乾いてしまえばアクリル絵具の場合剥がれることはありません。
アキーラが完全に乾燥するのは、数日から数週間だそうです。ちょっと・・・きびしいな。
完成
細かく見るとまだまだ雑ですが、まあ今の私の根気ではこんなもんです😅
色づかいとか気持ち悪い画風かもしれないですが、私は自分的にはこういう感じが好きです。
アキーラ専用クリアトップコートをかけると、色合いも落ち着いていい感じになりました。
アキーラ専用のトップコートじゃないとダメなのと、耐水性じゃないのが少し残念かも。
パネルから外さずにとりあえず置いてあります。水彩絵の具系と違って乾くと強靭な画面はいいですね。
なお、この絵は学習者の練習画であり、肖像権著作権を侵害する意図のものではありません。
クサカベアキーラ使ってみた感想
アクリル絵具がすぐに乾くのが怖くてアキーラを使ってみましたが、どうも思った感じと違いました。
乾くのが遅いということで、油絵具のように画面で混色できるとか、そういう感じを期待したのですが、表面が乾くのはアクリル絵具並みに早く乾きます、ベタベタと。
なのでグラデーションは難しい。
かといって完全乾燥が遅いので、アクリル絵具のように数分後には塗り重ねできて絶対に下の色が溶け出してこない、という強みがないです。
こすってると溶けだしてきてしまうので数日置かないといけません。
つまり私にとって(あくまで私にとってですよ)
すぐ乾くので油絵具に劣り、
なかなか乾かないのでアクリル絵具に劣る
という、あまり得しない絵具のような気がしました。
じゃあアクリルでいいじゃんと言う感じです。今のところ。
油絵で描くようになったら、テンペラ絵の具の代わりになるので、そこで一番強みを発揮するのだと思いますが、私は油絵できないしなぁ(健康上の問題で)
唯一良い点といえば、アクリルよりは筆の傷みが抑えられそうというところかな?
アキーラは使わないと決めてメルカリ出品も考えたのですが、も~しかしたら気が変わって、もしくは私が何らかの学びを得て、アキーラを使いたくなるときもくるかもしれないので一応とっておきます。
画材はこういう、使ってイマイチだったけど一応とっておく、が多いのが困りますね。。